柔道整復師にあん摩マッサージ指圧師のダブルライセンスは必要?費用・年収・なり方を徹底解説!
「患者さんの辛い痛みをなんとかしてあげたいけれど、柔道整復師の技術だけではアプローチしきれない症状がある…」 「将来的に独立・開業を考えたとき、他院と差別化できる強みが欲しい」
日々患者さんと向き合う中で、このような壁や悩みにぶつかったことはありませんか?
骨折や脱臼、捻挫といった急性外傷のスペシャリストである柔道整復師。しかし、臨床の現場では「長年の肩こりや腰痛」「不眠やストレスといった自律神経の不調」「慢性的な疲労」など、外傷の枠に収まらない悩みを抱えた患者さんが数多く訪れます。
そこで今、大きな注目を集めているのが「柔道整復師×あん摩マッサージ指圧師(および鍼灸師)」のダブルライセンス(またはトリプルライセンス)です。
この記事では、医療系を目指す学生や若手施術者に向けて、ダブルライセンスの必要性、気になる費用や年収の違い、最短で資格を取得する具体的なテクニックまで徹底解説します。あなたの将来のキャリアを輝かせるための道しるべとして、ぜひ最後まで参考にしてください。
1. 柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師の基本と「なり方」
まずは、それぞれの資格の基礎知識と、国家資格を取得するまでのプロセスをおさらいしましょう。
柔道整復師とは?(仕事内容と「柔道整復師 なり方」)
柔道整復師は、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷といった「急性のケガ(外傷)」に対し、手術や投薬を行わず、整復・固定・後療法などの手技を用いて人間が持つ自然治癒力を引き出す専門職です。
- なり方・取得プロセス:
- 高校卒業後、文部科学省または厚生労働省が指定する養成施設(3年制以上の専門学校、または4年制大学)に入学する。
- 解剖学、生理学、柔道整復理論などの専門知識と実技を履修し、卒業要件を満たす。
- 年1回(例年3月上旬)実施される柔道整復師国家試験に合格する。
柔道整復師のもっと詳しい解説はこちら⇩
あん摩マッサージ指圧師とは?(仕事内容と「あん摩マッサージ指圧師 なり方」)
あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」の3つの手技を用いて、全身のなでる・押す・揉むなどの刺激を与え、血行促進、筋肉のこりのほぐし、疲労回復を図る専門職です。法律上、医師以外で正式に「マッサージ」という名称を掲げて施術を行える唯一の国家資格です(街中の無資格サロンや「もみほぐし」とは明確に区別されます)。
- なり方・取得プロセス:
- 指定の養成施設(専門学校または大学で3年以上)に入学する。
- 解剖学、生理学、東洋医学概論、あん摩マッサージ指圧理論などを履修し、卒業資格を得る。
- 年1回(例年2月下旬)実施されるあん摩マッサージ指圧師国家試験に合格する。
あん摩マッサージ指圧師のもっと詳しい解説はこちら⇩
資格スペック・難易度の比較(ファクトチェックデータ)
厚生労働省の公式発表データ(第30回国家試験実績等)に基づく両資格の比較は以下の通りです。
| 項目 | 柔道整復師 | あん摩マッサージ指圧師 |
|---|---|---|
| 根拠法律 | 柔道整復師法 | あはき法(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律) |
| 主な得意領域 | 急性のケガ(骨折・脱臼・打撲・捻挫) | 慢性的なこり・疲労・全身の機能改善・麻痺の回復 |
| 開業権 | あり(接骨院・整骨院) | あり(マッサージ院・治療院) |
| 国家試験合格率 | 62.9%(令和4年3月実績) | 84.7%(令和4年3月実績) |
| 受験手数料 | 16,500円 | 14,400円 |
| 養成校の数 | 全国に多数 | 極めて少ない(法的な定員制限があるため) |
重要ポイント: 柔道整復師は合格率が約60%と試験自体の難易度がやや高めです。一方、あん摩マッサージ指圧師は合格率が高めですが、視覚障害者の職域保護の観点から晴眼者(目の見える方)向けの養成校の新設・定員増が厳しく制限されています。そのため、「学校に入学すること自体」の倍率・難易度が高いという特徴があります。
2. なぜ今「ダブルライセンス」が必要とされるのか?

単一の資格(シングルライセンス)だけでもプロとして働けますが、なぜダブルライセンス(あるいは鍼灸も含めたトリプルライセンス)を目指す人が増えているのでしょうか。その理由は、近年の業界環境の変化と患者さんのニーズにあります。
理由①:柔道整復の療養費(保険)厳格化へのリスクヘッジ
かつて接骨院経営は、柔道整復の保険請求(療養費)を中心に安定した収益を上げることができました。しかし近年、厚生労働省による保険請求の審査厳格化が進み、同一疾患での長期・高頻度の通院に対する適正化(償還払いへの切り替えなど)が徹底されています。
保険診療一本に頼る経営は年々リスクが高まっており、法律に基づいた「自費メニュー」を安心して提供できる体制をつくることが不可欠になっています。
理由②:自費診療(マッサージ・東洋医学)の正式な提供
柔道整復師の資格のみでは、疲労回復目的の「マッサージ」をメニューとして掲げることは違法(あはき法違反)となります。あん摩マッサージ指圧師の資格を持つことで、自費でのリラクゼーションや疲労回復マッサージを堂々と提供できるようになります。
さらに「はり師・きゅう師(鍼灸師)」の資格も合わせたトリプルライセンスを所持していれば、美容鍼や自律神経調整といった高単価な自費メニューも展開可能になります。
理由③:患者層の拡大と「一貫したサポート」
- 急性外傷(ケガ): 柔道整復の技術で応急処置・固定
- 慢性痛・疲労: あん摩マッサージ指圧の手技で筋肉のこりを緩和
- 自律神経・不調: 鍼灸施術で全身調整
このように複数のアプローチを持つことで、来院した患者さんを「うちでは対応できません」と断る必要がなくなります。スポーツの現場であれば「試合中のケガの処置」から「試合後の疲労ケア」「コンディション調整」まで一人のトレーナーで完結できるため、現場での信頼度が劇的に上がります。
3. 費用・修業年数・年収の違いを徹底比較

ダブルライセンスを取得する際、最も気になるのが「かかる費用」「期間」、そして「将来の年収」です。数字で具体的に比較してみましょう。
取得までの費用と期間
| ライセンス形態 | 主な組み合わせ | 取得期間 | 学費の目安(合計) |
|---|---|---|---|
| シングル | 柔道整復師のみ | 3年 | 約300万〜500万円 |
| ダブルライセンス | 柔道整復師 + 鍼灸師 | 3年〜4年 | 約490万〜690万円 |
| トリプルライセンス | 柔道整復師 + 鍼灸師 + あん摩マッサージ指圧師 | 3年〜6年 | 約660万〜720万円 |
※学費は専門学校の平均値。後述する「ダブルスクール割引」や「給付金」を適用前の概算です。
単独で2つの学校に通うと6年・800万円以上の費用がかかりますが、同じ学校の制度(ダブルスクール制度)を利用することで、期間を3〜4年に短縮し、学費も100万〜200万円以上節約することが可能です。
年収・待遇の違い(求人データより)
2026年現在の医療・治療家求人市場のデータ(正社員平均月収)を見ると、各単体資格の平均月収は以下のようになっています。
- 柔道整復師: 平均月収 約28.4万円(推定年収 380万〜450万円)
- 鍼灸師: 平均月収 約29.2万円(推定年収 390万〜460万円)
- あん摩マッサージ指圧師: 平均月収 約28.2万円(推定年収 380万〜450万円)
ダブル・トリプルライセンス保持者の優位性
治療院や整形外科の多くでは、保有する国家資格1つにつき「資格手当(月1万〜3万円程度)」が支給されます。
- 単一資格: 資格手当 1つ分 ➔ 年収 約400万円〜
- ダブル・トリプル: 資格手当 2〜3つ分+院長手当・歩合給 ➔ 年収 500万〜700万円以上(開業成功者は1,000万円超も可能)
資格を複数持つことで「応募できる求人の数が2〜3倍に広がる」だけでなく、採用側にとっても「一人で何役もこなせる即戦力」となるため、給与交渉や早期の役職登用(院長候補など)で格段に有利になります。
4. 実際の現場でどう活きる?事例紹介

ここでは、実際に現場で活躍する先輩施術者の事例をもとに、ダブルライセンスのリアルな価値を見ていきましょう。
臨床現場の事例:痛みの「壁」を突破したAさん(20代・院長)
高校卒業後に大学で柔道整復師の資格を取得し、接骨院に就職したAさん。経験を積むにつれ、ケガの処置には自信が持てるようになりました。しかし、患者さんから「最近ストレスで眠れない」「胃の調子が悪くて肩が凝る」と言われた際、柔道整復の知識だけでは十分なアプローチができず、もどかしさを感じていました。
同僚のアドバイスをきっかけに専門学校の夜間部・東洋医学系学科に進学。働きながら東洋医学(ツボや気血の流れ、マッサージ手技)を学びました。
資格取得後の変化: 「柔道整復で関節や筋肉の構造的アプローチを行い、取りきれない慢性的な張りや自律神経の乱れにはマッサージや鍼灸を組み合わせる。この『両面からのアプローチ』ができるようになったことで、治せる疾患の幅が圧倒的に広がりました。患者さんからの指名が増え、現在はグループ院の最年少院長として活躍しています。」
開業の事例:1人で「鍼灸接骨院」を立ち上げたBさん(30代・独立)
柔道整復師の資格のみで開業する場合、他店と差別化するために鍼灸師やマッサージ師を「雇う」必要があります。しかし、スタッフの採用コストや退職リスクが常に付きまといます。
Bさんは在学中にダブルスクール制度を活用し、柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師・鍼灸師のライセンスを取得。
独立後のメリット: 「1人で『鍼灸接骨院』として看板を出せたのが最大の強みです。保険施術でケガの患者さんのベースを作りつつ、自費の疲労回復マッサージや美容鍼メニューを組み合わせて利益率を向上させました。他人に依存せず、自分の力だけで安定した治療院経営ができています。」
5. 効率よくダブルライセンスを取得する具体的テクニック
「2つも資格を取るなんて、勉強や時間が大変そう…」と思う方に向け、無理なく最短・最安でゴールに到達するための5つの具体的テクニックを紹介します。
1
あん摩マッサージ指圧師の養成課程がある学校を起点に選ぶ
進路選択の最重要テクニック
全国的に「あん摩マッサージ指圧師」の養成校は非常に数が限られています。まずは通学圏内にあはき師養成校があるかを確認し、そこに柔道整復科が併設されている(または提携している)学校を最優先で検討しましょう。
2
「ダブルスクール制度」で学費割引と単位互換を使う
コストと時間を大幅削減
同一学内のダブルスクール制度を利用すると、2学科目の入学金全額免除や**学費減免(ダブルスクール奨学金)が適用されます。さらに「解剖学」「生理学」などの共通科目が単位認定(出席・試験免除)**されるため、授業のコマ数を減らして効率よく学べます。
3
無理のない「4年制ダブルスクール」を選択する
学習負担を分散
3年同時取得(昼夜W通学)は非常にハードで、国家試験が同年度に集中します。おすすめは**「1年ずらして入学する4年制スタイル」**です。柔道整復師の国試を先に受けておけば、4年目は午前中に学校へ通い、午後は「柔道整復師として給料をもらいながら働く」という理想的な生活が可能です。
4
「専門実践教育訓練給付金」をフル活用する
社会人・再進学向け
社会人経験がある場合、厚生労働省の「専門実践教育訓練給付金」を活用しましょう。条件を満たせば受講費用の最大70%(年間上限あり)がハローワークから支給されるため、実質負担額を劇的に下げることができます。
5
科目免除を活かして国家試験対策に集中する
合格率を引き上げるコツ
共通科目の単位免除によって生まれた「空き時間」を、苦手な実技の練習や国家試験の過去問演習に充てます。特に合格率が60%台の柔道整復師国家試験対策に時間を割くことが、一発合格の鍵となります。
6. 大学 vs 専門学校!あなたに合っているのはどっち?
ダブルライセンスを目指すにあたり、「4年制大学に行くべきか、専門学校に行くべきか」で迷う学生も多いでしょう。それぞれの特徴を整理しました。
| 比較項目 | 専門学校(ダブルスクール) | 4年制大学 |
|---|---|---|
| 修業年数 | 3年〜4年(最短で現場へ) | 4年〜7年(2資格なら編入が必要な場合も) |
| 学費総額 | 制度利用で約490万〜690万円 | 800万〜1,000万円以上(複数通学の場合) |
| 実技・臨床力 | 実技授業数が多く即戦力化しやすい | 教養科目や理論研究が中心 |
| 就職支援 | 医療業界に特化した手厚いサポート | キャンパスライフ・幅広い選択肢 |
どんな人に向いている?
- 専門学校が向いている人:
- できるだけ早く現場に出て活躍したい人
- 無駄な学費を抑え、効率よく2つの国家資格を取りたい人
- 実技中心の授業で、臨床で使える技術を叩き込みたい人
- 大学が向いている人:
- キャンパスライフを楽しんだり、一般教養も広く学びたい人
- 将来的に研究者や大学教授、スポーツ科学の研究道を目指したい人
まとめ:人を癒したい原点が、あなたの強みになる

柔道整復師とあん摩マッサージ指圧師のダブルライセンスについて解説してきました。
結論として、「対応できる症状の幅を広げ、将来の独立や高収入を目指すなら、ダブルライセンスは圧倒的な強みになる」と言えます。
もちろん、複数の国家資格を取得するには時間も費用もかかりますし、勉強の努力も必要です。しかし、ダブルスクール制度や各種奨学金・給付金を賢く活用すれば、ハードルは大幅に下げることができます。
何より大切なのは、「目の前で辛い痛みに悩んでいる患者さんを助けたい」という温かい思いです。その想いとたゆまぬ技術研鑽があれば、複数ライセンスという武器はあなたを一生支える素晴らしい財産になるはずです。
まずは気になる専門学校や大学の資料請求、体験入学に参加して、夢への第一歩を踏み出してみませんか?

