作業療法士(OT)とは?仕事内容から年収・なり方・キャリアまで徹底解説!

リハビリ

「人の役に立つ医療や福祉の仕事に就きたい」「リハビリに関わる仕事に興味がある」

そう考えて進路を調べていく中で、「作業療法士(OT)」という職業を知った方も多いのではないでしょうか。

医療系学校の情報を紹介する『医療系学校ナビ』が、「理学療法士(PT)となにが違うの?」「どんなところで働いて、どのくらいの収入が得られるの?」といった疑問を持つ高校生や保護者の方に向けて、本記事では作業療法士の基礎知識から仕事内容、年収データ、資格取得までの具体的なステップ、キャリアパスまで徹底解説します。

作業療法士の魅力を知り、将来の進路選びに役立ててください!

  1. 1. 作業療法士(OT)とは?「こころ」と「からだ」を支える生活の専門家
    1. 作業療法における「作業」とは?
    2. 理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)との違い
  2. 2. 作業療法士の仕事内容と活躍の場
    1. 4つの主要領域におけるリハビリ
      1. ① 身体障害領域(けが、脳卒中、難病など)
      2. ② 精神障害領域(統合失調症、うつ病、アルコール依存症など)
      3. ③ 発達障害・小児領域(脳性まひ、自閉スペクトラム症、学習障害など)
      4. ④ 老年期障害領域(認知症、骨折、高齢による体力低下など)
    2. 作業療法士が活躍する主な職場
  3. 3. 作業療法士のリアルな働き方と仕事の事例
    1. 【事例】病院・地域現場で働く作業療法士の1日
      1. 事例1:回復期リハビリテーション病院で働く若手作業療法士
      2. 事例2:子育てと両立しながら訪問リハビリで働くママさん作業療法士
    2. 作業療法士が使う具体的なリハビリテクニック
  4. 4. 作業療法士の年収・給与・労働条件【最新データ】
    1. 平均年収は約443万円
      1. 作業療法士の賃金データ概要
    2. 雇用形態と働きやすさの特徴
  5. 5. 作業療法士になるには?資格取得までの具体Step
    1. 養成校の種類と選び方
    2. 国家試験の難易度・合格率
  6. 6. 作業療法士の将来性とキャリアパス
    1. キャリアパスとスキルアップ
    2. 将来性:社会から求められ続ける理由
  7. まとめ:自分らしい生活を支える、やりがいに満ちた作業療法士へ!

1. 作業療法士(OT)とは?「こころ」と「からだ」を支える生活の専門家

作業療法士(Occupational Therapist:略称OT)は、病気やケガ、生まれつきの障害、加齢などによって日常生活に支障をきたしている方々に対し、リハビリテーションを行う医療系国家資格の専門職です。

厚生労働省の「理学療法士及び作業療法士法」では以下のように定義されています。

「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。

「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。

(引用:理学療法士及び作業療法士法 第2条)

作業療法士の大きな特徴は、手足などの身体機能だけでなく、「精神面(こころ)」のサポートも行う点にあります。

作業療法における「作業」とは?

作業療法士が扱う「作業」とは、いわゆる仕事や労働だけを指すのではありません。

  • 日常生活の基本動作:食事をする、服を着替える、入浴する、歯をみがく
  • 家事活動:料理をする、掃除をする、買い物に行く
  • 仕事・学業:デスクワークをする、学校の授業を受ける、文字を書く
  • 余暇・趣味:園芸、手芸、将棋、スポーツ、音楽を楽しむ
  • 地域活動:散歩をする、地域のお祭りに参加する

このように、「人が生きていくうえで行うすべての営み・活動」を「作業」と捉えます。対象者が「その人らしい生活」を再び送れるように、目的のある作業活動を通して心と体の回復を目指すのが作業療法士の使命です。

理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)との違い

リハビリテーション専門職には、作業療法士(OT)のほかに理学療法士(Physical Therapist:PT)言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)があります。

それぞれのアプローチの違いは以下の通りです。

職種主な対象・アプローチ具体的なリハビリ例
作業療法士(OT)応用的動作・日常生活動作・精神面のサポート箸を使った食事練習、着替え、手芸や園芸を通じた精神ケア、手先の細かい動きの訓練
理学療法士(PT)基本動作能力の回復(移動・身体機能)起き上がる、立つ、歩くなどの運動療法、温熱や電気を使う物理療法
言語聴覚士(ST)言語機能・聴覚・摂食・嚥下(飲み込み)発声・発語の訓練、耳の聞こえのサポート、安全に食べ物を飲み込む練習

例えば、脳卒中で右半身に麻痺が残ってしまった患者様の場合:

  • PTが「立ち上がり、歩いて移動する」ための筋力やバランス能力をトレーニングする
  • OTが「右手が使いづらくても箸やペンを持てるようにする」「利き手交換や自助具(サポート道具)を活用して一人で着替えられるようにする」といった生活動作をトレーニングする

このように、医療現場ではPT・OT・STがチームを組み、患者様の復帰を多角的にサポートしています。

2. 作業療法士の仕事内容と活躍の場

作業療法士が関わる対象は、子どもから高齢者まで多岐にわたります。ここでは具体的な領域別の仕事内容と、主な就業先をご紹介します。

4つの主要領域におけるリハビリ

① 身体障害領域(けが、脳卒中、難病など)

脳卒中や交通事故、神経難病などによって身体が不自由になった方へのアプローチです。手足の機能を改善するアプローチに加え、スプーンを持ちやすく加工した「自助具」を作成したり、自宅のバリアフリー化の提案を行ったりします。

② 精神障害領域(統合失調症、うつ病、アルコール依存症など)

うつ病や統合失調症などで心に悩みを抱える方へのサポートです。絵画、木工、スポーツ、園芸などの作業活動を通じて精神的な安定を図り、ストレスの対処法や集団になじむ感覚を身に付け、社会復帰を目指します。

③ 発達障害・小児領域(脳性まひ、自閉スペクトラム症、学習障害など)

生まれつき障害を持つ子どもや、発達に不安のある子どもへのアプローチです。遊びやブランコなどの運動を通じて感覚を整え、手先の器用さや学校生活への適応能力を育みます。

④ 老年期障害領域(認知症、骨折、高齢による体力低下など)

認知症のある高齢者や、転倒により骨折した方へのリハビリです。昔やっていた趣味や生活習慣を生かした活動を行い、記憶や認識の低下を防ぎながら、住み慣れた地域で安心して過ごせるよう支援します。

作業療法士が活躍する主な職場

作業療法士の活躍の場は、病院だけにとどまりません。

  • 医療分野:大学病院、総合病院、リハビリテーション専門病院、クリニック、精神科病院
  • 介護・高齢者福祉分野:介護老人保健施設(老健)、デイケア(通所リハビリ)、訪問看護ステーション
  • 児童・障害福祉分野:児童発達支援センター、特別支援学校、身体・精神障害者福祉施設
  • 行政・地域・その他:保健所、地域包括支援センター、ハローワーク(就労支援)

近年では「住み慣れた自宅で暮らしたい」というニーズが高まり、訪問リハビリの現場でも作業療法士の役割が非常に重要視されています。

3. 作業療法士のリアルな働き方と仕事の事例

ここでは、実際に現場で働く作業療法士のストーリーと、現場で使われている具体的なアプローチテクニックを見ていきましょう。

【事例】病院・地域現場で働く作業療法士の1日

事例1:回復期リハビリテーション病院で働く若手作業療法士

病院勤務の作業療法士は、朝のチームミーティングから1日が始まります。医師、看護師、理学療法士らと患者様の体調や進捗を共有したうえで、1日6〜8人の患者様のリハビリを担当します。

ある患者様とのエピソード

脳出血により左半身に麻痺が残ったAさん(60代・男性)の目標は、「もう一度、自宅の神棚にお供え物をしてお参りをすること」でした。単に手足を動かす筋トレを行うのではなく、作業療法士はAさんが実際に神棚に手を伸ばす動きを再現したトレーニングを提案。腕を伸ばして物を置く動作の練習を重ねた結果、Aさんは自宅退院後に念願のお参りを自分の力で達成できました。

勤務時間は8:30〜17:30程度で、原則として夜勤はありません。週休2日制で残業も比較的少ないため、プライベートで趣味(スポーツや音楽など)を楽しむ時間がしっかり確保できる点も魅力です。

事例2:子育てと両立しながら訪問リハビリで働くママさん作業療法士

訪問リハビリテーションでは、利用者のご自宅に直接訪問してリハビリを行います。

柔軟な働き方のスタイル

育児休業を経て復帰したBさん(30代)は、訪問リハビリの「直行直帰スタイル」を活用しています。移動時間をタイムマネジメントしながら訪問業務を行い、夕方には子どもを保育園にお迎えに行くという働き方を実現しています。

このように、作業療法士は個人のライフステージに合わせた柔軟な働き方が選択できる職種です。

作業療法士が使う具体的なリハビリテクニック

作業療法士は、患者様の「できない」を「できる」に変えるため、以下のような工夫やアプローチを用います。

  • 自助具(じじょぐ)の作成・選定手や指が十分に力が入らない方のために、柄が太く握りやすいスプーンを作ったり、ボタンを留めやすくするフック器具を用意したりします。
  • 生活環境の調整(環境設定)車椅子で移動しやすいように敷居の段差をなくす提案をしたり、手すりの位置や高さをミリ単位で調整して家族へアドバイスを行います。
  • 代償手段の提案右手が使えなくなった場合、左手で字を書く訓練(利き手交換)を行ったり、音声入力ソフトを活用して仕事に復帰できるよう工夫します。

ポイント:自分の趣味や経験がリハビリの「引き出し」になる!

手芸、料理、DIY、料理、カードゲームなど、あなたがこれまでの生活で体験してきた様々な遊びや趣味が、患者様のリハビリツール(作業)としてダイレクトに活用できます。

4. 作業療法士の年収・給与・労働条件【最新データ】

進路を選ぶうえで気になるのが「給与や待遇面」です。厚生労働省の公式データをもとに、作業療法士の収入の実態を解説します。

平均年収は約443万円

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査(2025年実施データ)」によると、作業療法士(※理学療法士等を含む区分)の全国平均年収は約443.6万円となっています。

作業療法士の賃金データ概要

項目全国平均データ
平均年収443.6万円
平均月額給与約26.3万円〜27.3万円
平均年齢36.2歳
平均所定内労働時間157時間 / 月

※出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(※調査データ加工)および「ハローワーク求人統計データ」

初任給は月給22万〜25万円前後からスタートすることが多く、経験年数や役職(主任、リハビリテーション科長など)に就くことで年収がアップしていきます。

雇用形態と働きやすさの特徴

  • 正社員率が高い:作業療法士として働く人の約95.7%が正規雇用(正社員)として勤務しています。
  • 夜勤なし・残業少なめ:病院勤務でも原則としてシフト制の夜勤はなく、日勤帯が中心です。
  • ライフイベントに対応しやすい:全国的に需要が高いため、結婚や転居、育児からの復帰時にも再就職(転職)がしやすい強みがあります。

5. 作業療法士になるには?資格取得までの具体Step

作業療法士として働くためには、年に1回実施される「作業療法士国家試験」に合格し、免許を取得する必要があります。独学だけで国家試験を受験することはできません。

国家資格取得までの具体的なステップは以下の通りです。

【ステップ1】高校卒業
  ↓
【ステップ2】養成校(大学・短大・専門学校)へ進学(3年〜4年間)
  ↓
【ステップ3】必要な知識・技能を修得し、養成校を卒業(見込み含む)
  ↓
【ステップ4】作業療法士国家試験を受験(毎年2月頃)
  ↓
【ステップ5】合格後、厚生労働省の指定登録機関に登録して作業療法士免許を取得!

養成校の種類と選び方

文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設(全国約200校)で、規定のカリキュラムを修了する必要があります。

学校種別修業年限メリット・特徴
4年制大学4年間一般教養や高度な専門知識、研究手法を深く学べる。学士の学位が得られ、大学院進学も目指しやすい。
専門学校(3年制/4年制)3〜4年間実技や実習重視のカリキュラム。3年制なら最短で国家試験受験資格が得られ、学費を抑えて早く現場に出られる。
専門職大学4年間既存の大学と専門学校の良さを兼ね備え、実習・産業界との連携に特化した新しいタイプの大学。
短期大学3年間短期間で集中して学び、最短で現場を目指す。設置校数は少なめ。

学校では、解剖学や生理学といった身体の仕組みを学ぶ「基礎医学」から、リハビリテーション医学、心理学、各領域の作業療法学、そして実際の病院や施設で行う「臨床実習」を経験します。

国家試験の難易度・合格率

作業療法士国家試験の合格率は、毎年およそ80%〜90%程度で推移しています。合格発表は毎年3月下旬に行われます。

学校の授業や実習に真面目に取り組み、しっかり対策を行えば、決して届かないハードルではありません。

6. 作業療法士の将来性とキャリアパス

就職や資格取得の先にある、作業療法士の「キャリアの広がり」と「将来性」について見ていきましょう。

キャリアパスとスキルアップ

現場で経験を積んだ後は、より専門性を高める認定資格を取得したり、組織のマネジメント層へステップアップすることができます。

  • 上位資格の取得:一般社団法人 日本作業療法士協会が認定する「認定作業療法士」や、さらに専門分野を極めた「専門作業療法士」(特別支援教育、精神科作業療法、脳卒中など)を取得し、スペシャリストを目指せます。
  • 管理職へのキャリアアップ:病院や施設のリハビリテーション部門のチーフや科長、施設長といったマネジメント業務へ進む道もあります。
  • 独立・起業や行政への進出:訪問看護ステーションの開業、児童デイサービスの起業、あるいは行政(市区町村の保健師・福祉担当者)のサポートスタッフとして活躍の場を広げるケースも増えています。

将来性:社会から求められ続ける理由

超高齢社会を迎えた日本において、介護予防や認知症ケア、在宅医療の推進は最重要課題です。

また、医療だけでなく教育(特別支援学校など)や労働分野(障害者雇用サポート)でのニーズも急増しており、有効求人倍率も高い水準を維持しています(人手不足)。ロボットやAI技術が進歩しても、「一人ひとりの心と生活に寄り添うアプローチ」を行う作業療法士の仕事は、今後も社会から強く求められ続ける職種と言えます。

まとめ:自分らしい生活を支える、やりがいに満ちた作業療法士へ!

作業療法士は、単に体の傷や麻痺を治すだけでなく、「その人がその人らしく生きるための人生」を取り戻すサポートができる専門職です。

  • 心と体の両面からアプローチできる
  • 日常生活のすべての動作・趣味がリハビリのツールになる
  • 平均年収は約443万円、夜勤がなく働きやすい環境
  • 医療・介護・教育など活躍の場が広く、一生モノの資格

患者さんから「一人で着替えができるようになったよ」「また趣味の園芸ができるようになって嬉しい」と笑顔で感謝された時の達成感は、何物にも代えがたい大きな喜びとなります。

医療や福祉の道で誰かを支えたい、人と深く関わる仕事がしたいと考えている方は、ぜひ作業療法士という選択肢を未来のステップとして検討してみてくださいね!

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